ユニバーサル・ピア設立趣旨書

 近年、バリアフリー化が進み、街中においても車椅子ユーザーが誰の助けも借りることなく外出できる社会が実現しつつあります。また、「障がい者」「健常者」という区別なく、人と人とが関わることのできる環境も広がっています。

 しかしながら、2016年に発生した「津久井やまゆり園障がい者殺傷事件」をはじめ、障がいを持つ方々が犯罪の被害に遭う事件は後を絶ちません。さらに、そのような事件を容認するかのような意見が存在することも、現実として受け止めなければなりません。表面的にはユニバーサル・共生社会の概念が広がる一方で、実際には「健常者」とされる人々を優先した社会になりつつあるのではないか、という懸念もあります。

 障がいを持つ方々は、一人暮らしをしたり、一般就職をしたりする人だけではありません。障がい者生活介護施設を利用しながら生活する人、医療的ケアを受けながら寝たきりの状態で暮らす人など、多様な状況の方々が存在します。それぞれが自分なりの方法で社会と関わり、日々を送っています。

 そこで、私たちは~障がいの有無にかかわらずお互いが自己選択・自己決定をしながら無理なく関係性を持って一緒に暮らしていける社会を目指して~の実現を目指し、以下の4つの視点から活動を推進していきます。

(1)障がいを持つ方々への支援  

  ・個々の障がい特性に応じた余暇活動の支援  

  ・生い立ちや生活環境に寄り添った社会参加の応援

(2)社会への働きかけ  

  ・障がい者理解を深めるための啓発活動  

  ・子どもたちが障がいを正しく学べる場の提供(福祉教育の拡大)

(3)支援者・ボランティアの育成  

  ・障がいの特性に応じた支援方法を学ぶ機会の提供  

  ・支援者同士が意見を交換し、学び合う場の創出

(4)他の福祉団体・地域団体との連携  

  ・福祉団体や地域団体と協力し、包括的な支援体制の構築

 現在、私たちはまだ限られたメンバーでの活動ではありますが、少しずつ実践を重ねています。たとえば、「10~20代ユース世代に向けた障がい者理解の促進」や、松戸市社会福祉協議会と連携した小学校での福祉教育の実施など、具体的な取り組みを進めています。

 今後、さらに多くの仲間と共に活動を広げ、誰もが分け隔てなく暮らせる社会の実現を目指し、活動を推進していきたいと考えています。

                        2020年3月

                         ユニバーサル・ピア                                                  

                           代表 新井丈晴